東急建設㈱災害防止協力会 50周年記念誌
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 「線は安全のための『装置』です。しかし、装置が安全へ導くのではありません。わざわざ装置を使ってまで安全管理をする必要性を一人ひとりが考えて、腹の底に落とし込むことが重要だと思います。大切なのは安全を守ろうとする『気持ち』です」 ただ、気持ちには誰しも浮き沈みのムラがあります。そのコントロールが難しいわけですが、増田昌美さん(金子建設㈱・名古屋支部)は、一人ひとりが常に高いレベルで「現場の安全を守る」気持ちをキープできるよう、「みんなのやる気を引き出すような働く環境を整えるのも職長として大事な仕事」だと語ります。 「話し合いの中で採用すべき意見が出た時は、すぐに実行するように心掛けています。意見を出してもムダだという不信感を与えると、やる気を削いでしまうからです。良い意見がたくさん出るように、作業員同士が闊達にコミュニケーションを取れる雰囲気づくりには細心の注意を払っていますね。それができていれば、職長であっても無理にリーダー然として振る舞う必要はないと思うんです」 実際に、作業員の自主性と結束力が高くなり、現場がうまく回っている時は、増田さんはあまり前に出過ぎないようにしているとのこと。ただしそんな時でも、次の言葉だけは周囲に伝え続けると言います。 「建物の完成を楽しみにしている未来の利用者の期待を想い、一人ひとりがプライドとプロ意識を持って仕事をすること――」 職長が旗を振り、作業員一人ひとりの心を動かし、行動を改善させ、同じ想いを共有する集団をつくる。職長たちの安全への想いを並べると、「現場の安全を守る」というゴールに向かう手法や細部の優先順位、表現の仕方には違いが見られました。しかし、増田さんの言う「プライドとプロ意識」は全ての職長から強烈に伝わってきます。 「東急建設の現場の安全を守る重責を任されているのは自分だ」という職長たちの矜持は、災害防止協力会が50年で培った財産として、次の50年へと引き継がれていくことでしょう。木村栄介大建土木㈱(札幌支部)一人ひとりが自然と「安全を守りたい」と思える現場づくりを心掛けています。増田昌美金子建設㈱(名古屋支部)現場の結束力を高めれば、おのずと物事はスムーズに運び作業効率も上がります。東急建設株式会社災害防止協力会 50周年記念誌049

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