ドが自然と安全意識に向かう状態を目指す」と言います。 「例えば工事車両を停める場所を決める時、カラーコーンを設置するのが簡単です。しかし、あえて白線を引くようにしています。なぜなら、わざわざ線を引かされる作業員は『なぜ線が必要なのか?』を考えるようになるからです。そして、やがて線を引くこと自体に目的があるのではなく、線に沿って駐車しようとする人間の心理を利用していることに気がついてくれます」 実際に白線を引いた結果、みんなが線に合わせて真っすぐに駐車するようになったそうです。鍋屋邦一㈲道田建設(関西支部)三原淳彦㈱三原工務店(木造建築支部)どんな現場でも共通認識を徹底しなければ災害を防止することはできません。職長が先頭に立って自ら行えば作業員の安全意識も変わってくるものです。人はついてこないものです」 「職長も現場では一人の作業員である」と鍋屋さんは語ります。みんなと同じ気持ちで仕事に打ち込み、時に周囲に教えを請いながら、共に学び続けてより良い働く環境を整えるようにしているそうです。 同じように、「行動で示すことを心掛けている」と語るのは三原淳彦さん(㈱三原工務店・木造建築支部)。現場にいち早く入り掃除からスタート。作業終わりにも最後まで掃除を行うと言います。 「どんなに意識をしても事故を完全に防ぐことは難しいものです。しかし、安全管理の基本や現場の環境整備を怠ったことによる『無駄な事故とケガ』だけは避けるようにしたいという想いで、一日の始めと終わりに先頭に立って掃除をしています」 労働災害は不安全な状態や行動がいくつか重なり合って起こるケースが多いもの。現場に落ちている小さなゴミを拾うのも、災害原因の可能性を一つひとつ摘み取るという「現場の安全を守る」大事な行動であり、「作業着のポケットには常に現場のゴミが入っている」と語る職長もいます。 作業員の一人ひとりに気づきを与えるため、木村栄介さん(大建土木㈱・札幌支部)は仕事中にさまざまな仕掛けを作業員に対して設けているそうです。「小さな仕掛けを積み重ねて、現場全体のムー一人ひとりが自然に意識を高める現場づくり048職長を訪ねて ー安全への想いー
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