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■みどり 95号
●現場を訪ねて
国道168号(仮称・切畑1号トンネル)道路改築工事作業所(大阪支店)
地域住民に理解される工事環境
品質確保・作業の安全を維持して順調に進行

■工事場所 和歌山県田辺氏本宮大居地内
■工   期
 平成16年12月~平成19年3月
■発 注 者 和歌山県西牟婁振興局
■施   工 東急・東亜・初島JV
■所   長 水島正信

 本部安全巡視に同行して、国道168号線の道路改築工事の一環で行なわれている「(仮称)切畑1号トンネル」の作業所を訪れた。国道168号線は、和歌山県新宮市を基点として熊野川町、本宮町、十津川村、五條市を経て大阪府枚方市までを結ぶ幹線道路だ。急峻な山間地を通ることから、この168号線のうち「五條新宮道路」高規格化整備計画として、本宮町大居から同土河屋間の、急カーブが多く谷あいの狭隘な区間にトンネルを新設するもの。この完成によって、交通の利便性や防災機能を高め、地域の発展に寄与すると、多方面から期待されている。
 周辺地域には熊野神社の本宮大社、世界遺産に認定された熊野古道があり、また近隣には数多くの温泉があって、たいへんのどかな土地柄である。休日には熊野古道を訪れる人も多く、林間の散策、自然探訪、神社やお寺など名所旧跡を訪ねた帰途、温泉に宿泊する観光客で賑わう。冬でも、この季節の風物詩となっている川湯温泉の仙人風呂は、11月から2月の間、一部流れを堰き止め、川原の石を掘り起こしてつくった露天風呂。そんな情緒あふれた風情は、地元の人に限らず観光客にも大いに喜ばれている。


トンネル先端の切羽。巨大なホイールジャンボでダイナマイトを設置するための穴を100ヶ所ぐらい掘る。
“少数精鋭”がトネンル工事の特徴

 最初に、話を分かりやすくするために、トンネル工事の概略を、切畑トンネルの場合に即して、ごく簡単に触れておこう。①坑口(トンネルの入り口になるところ)をつくる。②機械掘削(発破施工)で掘り進む。③ズリ(崩した土や岩)の搬出。④コンクリート吹き付け(掘った穴が崩れないように、吹き付けロボットで固める)。⑤鋼鉄製の支保工を組み立てる。⑥ロックボルトを打ち込む(4メートルほどの鉄棒を山に打ち込む=ハリネズミのようなイメージ)⑦地下水の漏水を防ぐために防水シートを貼る。⑧覆工コンクリート(トンネル内表面をコンクリートで仕上げる)。⑨自動車の走る路面をコンクリートで舗装。⑩照明・非常電話・消火器などを設置。
 以上のような工程で完成を目指す。現場を訪れてまず気づいたことは、全長600メートルを超える規模の工事ではあるが、作業に従事する人数が少ないことだ。これは「トンネル工事の特徴のひとつです」と水島所長はお話してくれた。
 切畑トンネルの場合は、掘削断面が82.5㎡で、この面積を掘り進んでいく工事だ。掘削断面にダイナマイトを仕掛け、一定の厚み(1ピッチ1.2m前後)で掘り崩した土や岩をダンプで外に運び出す。おおまかに言うと、こうした作業の繰り返しになる。つまり作業スペースが狭く、しかも発破をかけるという慎重を要する仕事であり、そのうえトンネル内にホイールジャンボ(ダイナマイトを設置するための細い穴を掘る機械)やホイールローダー(崩した岩や土をダンプに乗せるパワーシャベル)、重ダンプなど大型の機械が入ることで、その他の作業を同時並行で進めることが困難になる。したがって作業従事者は必然的に限られるし、大人数を投入して、工事が早められるわけでもないことが理解できた。
 一方で、多くがトンネル内工事であることから、作業が天候に影響されないという有利な面もある。雨風に関係なく、所定の工程を進行できる。とはいっても、土砂の崩落、出水など、常に危険は伴うから、警戒に怠りはない。もっとも事前の地質調査、進行中の掘削面の様子などで、危険の予知はかなり正確にできるとのこと。この現場で、そうした危険に遭遇したことは、これまでところ「ありません」とのことであった。
 水島所長によると、取材当日までに、ほぼ半分近くまで達していて、前記した⑦までの工程を繰り返しながら進んでいるわけだ。これが400mくらいまでいくと、トンネル内表面を入り口方向から仕上げにかかるなど、付帯工事に着手する。


水島正信所長

増田語工事課長

山原康宏工事主任〈初島JV)

現場の皆さん。抗口を背にして。

中田和明主任(東亜JV)

霜田和彦さん(電気)

泉 巌さん(㈱泉組社長)

溝上圭一さん
(㈱沖崎組工事主任)

福田陽一さん
(日本ロックエンジニアリング㈱)

万全な騒音・振動防止ときちんとした挨拶で近隣の理解を

 このトンネル工事で最も気を使うのは、作業に伴う騒音を防止することだ。重機を使い、大型ダンプが行き来する際に出す音もさることながら、計画段階から綿密な対策を講じたのは、ダイナマイトによる爆発音の防止。山間の地とはいっても、幹線道路の近くでもあることから、道路沿いに集落は点々とある。隣家はトンネル坑口から50mほどしか離れておらず、騒音振動による迷惑はかけられない。そこで入り口に設置する防音壁に工夫を凝らし、二重にしたサンドパネルの特殊扉を採用、防音効果を通常の3倍まであげることに成功した。ちなみにダイナマイトの爆発音は、深夜であれば6キロ先まで届くとのこと。特殊扉とはいえ50mの隣家に100%遮音することはできないが、理解をいただけるところまでの効果はあげている。
 しかし一番の効果は、「きちんとしたご挨拶でした」と話してくれたのは増田工事課長だ。折に触れては言葉をかわしたり、必要に応じて作業状況をお伝えし、今日の発破は「〇〇時頃になります」など、ほぼ毎日のように近隣を回り、お話して理解を得ることに努めた。
 こうした取組みによって、坑口からごく浅い30mから通常は行なわない発破施工に、分割制御してではあったが、かかれるようになった。坑口50mからは切羽全面に実施でき(100から120本ほどになる)、夜間の発破作業にも取りかかれている。


安全対策に欠かせない“日々確認”と“声掛け”

トンネル内に新鮮な空気を続ける送風機。これが一番電気を消費する。

 さて、こうした工事の第一線で働く皆さんを代表して、安全を考慮しながら作業の陣頭に立つ3人の方にお話をお聞きした。

福田陽一さん(日本ロックエンジニアリング㈱)「切羽の作業は1サイクルを4~5時間で進めるのですが、少しでも早く進行したいという気持ちが先にたってしまいがちです。工程表にもとづいた慎重な作業を行い、手順を急ぐことはしないようにしています。とりわけ発破時には絶対に発破面に背を向けない、声をかけ合うなど基本的なことは欠かしません」


溝上圭一さん(㈱沖崎組)「狭いトンネル内でダイナマイトを使い、数台の重機が入っての工事ですから、それぞれが決まりごとを守ることが大事です。また、切羽はそのたびごとに様相が変わってきますから、崩落事故を防ぐためには、状態を日々確認する、時々に点検することが不可欠です」
泉 巌さん(㈱泉組)「掘削が順調に進んでくると、ズリの搬出も規則的、定期的になってきます。ズリは将来道路となるところの路盤材として埋め立てるのですが、ダンプは25トンという大型ですし、必ず決められた走路を通り、安全や騒音などで近隣の迷惑にならないように気をつけています」


このように作業所が掲げる基本方針「地域住民に理解される工事環境に努め、構造物の品質確保、作業の安全確保を行ない、役所から信頼される仕事を工期内に確実に完了させる」を履行して、これまで順調に工程を消化してきた。


サンドパネルの防音扉。
これを閉めて爆発音を遮断する。

トンネルの掘削で出たズリを使って道路の地盤を固める。

 最後に、工事事務所に所属するJV所員一同からのメッセージを紹介しましょう。

「当作業所は、東急・東亜・初島の3社JV であり、大変個性的なメンバーで構成されています。東急大阪支店の大所長がド~ンと構え(ているだけ?)、小間使いの工事課長によって現場が運営され、トンネル担当主任のさすらいのギターマン、電機担当主任の東京シティーボーイ、専業主夫(?)、蜜柑農家、若つくりのおねえちゃん(?)達によって、毎日、楽しくやっています。ギターマンの即興の語り弾きは一聴の価値あり。唯一人の独身。ただいま恋人募集中。現場に関心のあるうら若き乙女は、温泉のついでに寄ってみてはいかが」(文責・作業所某)
と、和やかで明るい現場事務所でした。
●随想
蹴球雑感



「2006年・ドイツ」こう書いただけで勘のよい方は、私が何を言いたいか、お分かりになるかと思います。そうです。2006年は4年に一度のサッカーの祭典、ワールドカップがドイツで開催される年なのです。私の心は、はや欧州です。

㈱マツモト工業所(首都圏・鉄道支部)
松本洋幸
 今や、自他共に認めるサッカーフリークの私ですが、小学生時代はリトルリーグ、中高時代もサッカーとは関係の無い毎日を過ごした私がサッカーと遭遇したのは、今から20年ほど昔になります。大学卒業後、某塗料メーカーのシンガポール支店に勤務していた私は、船荷で着いた塗料を現場に運び入れておりました(当時は現地に自社工場が無く、全て日本から船で搬入していました)。と、「バキッ」と音がして、私は俗に言うギックリ腰になってしまいました。当時、担当していた現場はホテルでしたので、医務室(?)で応急処置をしてもらいましたが、“腰が悪い”経験をお持ちの方々には、よくお分かり頂けると思いますが、“これをこうしたら直る”というものは皆無なのです。背筋、腹筋を鍛えて、背骨にかかる負担を少なくしない限り、二本足で歩行している人類が上体を垂直に支えつつ、活動することは出来ません。

 そこで例に漏れず、帰国して埼玉県で先代の会社で働き始めた私はスポーツジム通い始めました。ところが、一人で黙々とトレーニングに励むのも、かなりストイックな人でなければ続きません。腰痛を克服するとは言っても…と悩んでいた時、友人や仕事仲間からサッカーチームを作ろうという声が上がりました。時に1993年、日本にJリーグが発足した年でした。チーム名はサンカラット・ダイヤモンズ。埼玉は浦和の誇るレッドダイヤモンズにあやかりました。ユニフォームもホーム用、アウェー用と作り、四級審判の資格も取得し、戸田市の社会人サッカーリーグに登録。市内にあるサッカー練習場には、ナイター設備のあるところもあり、休日は練習、試合、合間を縫ってレッズの応援にも駆けつけました。免停になった時は家内に車で片道30分の練習場までアッシーになってもらい「帰って、又来る訳にもいかないから、練習見てるわ」と言われておりました。

 日本でのサッカー熱は、ブームと言われるものは去った気がしますが、海外の試合もテレビで観戦できますし、雑誌もある。携帯電話で試合チェックもOK。ホームページもある。という訳で、底辺が広がり、地域にも根付いているように思います。しかし、その中でも流行と言われるものがあります。イタリアのサッカーは相手を0点におさえ、1-0で勝利するのが理想で、手堅く防御に徹します。一方、スペインのサッカーは攻撃の一言に尽きます。観戦して面白いのは後者で、最近、日本での人気も攻撃的なスペインサッカーに軍配が上がります。
 さて、サンカラット・ダイヤモンズで鳴らした私も、体力的な衰えをテクニックでカバーするも限界があり、今はシニアチームで県南の大会に出ています。○○高校が全国制覇した時のイレブン、などというチームメートのプレーを間近に見る事もあり、楽しみは尽きません。
 2006年はイタリアンサッカーを見習い、失点を最小限に抑え、手堅く、無事故・無災害で頑張りたいと思います。

●協力会社訪問
東神建設㈱
(首都圏・鉄道支部)

代表取締役 緒形 吉弘
本社所在地 東京都大田区東矢口3-27-3
事 業 内 容 建築・大工・内挿仕上・建具



緒形吉弘社長
一年先を見通した体制を整え
信頼に誠意をもって応える仕事をしたい


●三代目だとお聞きしていますが。
緒形社長 東神建設は昭和58年創立ですが、創業者は私の父です。実は祖父が東京の木場で材木問屋を営んでいて、その次男であった父の隆二が、昭和30年代に、現在地で材木販売業を始めました。伊孝材木店がそれですが、その工事部として出発したのが最初です。昭和58年に分離独立して東神建設となりました。激しい時代の変化に対応しなければ、というのが理由ですが、その父が、私が24歳のときに亡くなり、父と一緒に事業を担っていた叔父の緒形昌治(父の弟)が社長に就任しました。私が社長になったのは、その叔父の後を受けて、平成15年のこと、40歳になったときです。ですから三代目ですね。

●まだお若いときにお父さんを亡くされたわけですが、将来は家業を継ぐという意識は、小さい頃からあったのですか。
緒形社長 そんなにはっきりと意識していたわけではありませんが、やがてはそうなるのだろうなという漠然としたものはありましたね。でも亡くなったときは、大学を出て間もない頃で、社会人になってそんなにも経っていませんでしたし、まだまだ修行中という意識でした。しっかり社会経験をつんでということで、東神建設に入社してもいませんでした。
 ですから父の死はショックでしたが、それを嘆いている間もなく、すぐに現場管理の仕事に就くことになりました。

●すると、この仕事についてよく分からないまま、いきなり「現場」ですから、戸惑われたこともあるのではないでしょうか。
緒形社長 さんざん胃が痛くなる思いをしました(笑い)。なにしろ幾つにも分かれて同時進行している現場を、とどこおりなく進行させなくてはという焦りとプレッシャーは、率直に言ってきつかったですね。幸い二代目からしっかり指導していただいたので、やってこられたのだと感謝しています。



東神建設が担当した元石川10街区集合住宅

●そんなご苦労の中から学び、現在、社長として活かされていることをお聞かせください。
緒形社長 私がいま大事にしていることは「できない約束はしない」「受けた仕事は誠実に応える」ということです。仕事が欲しいあまりに、実行できる見通しのないままに受けてしまい、結果として迷惑をかけることがあっては、会社の存続を難しくしてしまいます。社員や大勢の職人さんたちが力を合わせ、知恵を出しあってやっている会社ですから、目先のことで危うくしては申し訳がありません。ですから、どんなに仕事が欲しくても、できないことはお約束しないという勇気を持つようにしています。


●そして、受けた仕事には誠心誠意で対応されるわけですね。
緒形社長 「できないことは約束しない」勇気というのは、けっして弱腰になるという意味ではありません。あらかじめ工程管理をしっかりと決めて、目前のことだけに追われるのではなく、半年、一年先を見通し、人の手配を怠りなく整えることなのです。つまり、これは「信頼」していただいたことには「誠実」にお応えできるだけの体制をつくり、しかも「実行」するにあたっては困難を恐れずに全力を尽くし、「継続」していくだけの力を養っていこうという精神です。我社のありようとして、この4つの言葉「信頼」「誠実」「実行」「継続」を大事にしていきたいと考えています。
 この会社は私にとって、父や先代が築き、残してくれた「財産」ですから、しっかりと受け継ぎ、発展させたいという思いです。

●フォットショット
高速道路本線では例を見ないプレキャスト アーチ カルバート工

第二東名高速道路
  千福トネンル工事


 
東急建設㈱・日特建設㈱・佐伯建設工業㈱特定建設工事共同企業体によって進められている千福トンネル工事は、東名高速道路の北側に建設される第二東名高速道路建設工事の一環で、東京から約90㎞西の東名裾野ICと沼津ICのほぼ中間に位置し、富士山の南東、愛鷹山の山麓に広がる千福が丘ニュータウンに隣接した箇所に、3本のトンネルを構築する工事(工期/平成16年9月30日~平成20年3月12日)である。
 この工事は、高速道路本線では初の採用となるプレキャスト アーチカルバート工が、短期間でトンネルを完成させるために採用されている。今回の「フォトショット」は富士山を背景にした現場と、アーチカルバート工の模様の紹介である。

1ピース25tのPC版を3ピースに分けて施工していく

石井要宗所長

 「施工場所がニュータウンの入り口に当たりますし、民家も近接していますから、騒音、振動などには細心の気づかいをしています。下り車線のアーチカルバート工は完了し、現在は上り車線を行っていますが、順調に進んでいます」

伊東将彦副所長

 「日本の大動脈の工事ということで、誰でもが経験できるものではありませんし、第二東名高速道路で初めて、日本で初めてのプレキャストによるアーチカルバート工ですから、無事故・無災害で完成させようと思います」

[工事内容]
◆総延長 約990m(上り線延長) ◆土工延長 約370m
◆橋梁延長 約176m ◆トンネル延長 約656m
◆上り線:第一トンネル L=238m、第二トンネル L=203m
◆下り線:第二トンネル L=215m ◆切盛土工 約382,000㎥
◆橋梁下部工 橋脚2基、橋台5基 ◆法面工 約82,000㎡
◆用排水工 約 9,000m ◆アーチカルバート工 約102m

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