研修所見学会や勉強会を行い
より素晴らしい建物をめざす
現在は既存解体工事、掘削工事が終わり、基礎躯体工事に入っているが、今回のプロジェクトについて南部朋彦所長に伺う。

南部朋彦所長 |
南部所長「幹部候補生の研修施設として、限られた社員だけがここに来られるというステイタスを持つ建物にしたいというのが、キヤノンさんの主旨です。また、キヤノンさんは環境を非常に大切にされており、「共生」を企業理念として掲げられております。これは環境、地域社会、ひいてはすべての人類が末永く世界と共に生き、共に働いて、幸せに暮らしていける社会を目指すということです。今回のこの工事は、その主旨に沿い、緑豊かできれいな桜並木に融合し、地域住民の方にも貢献する研修所づくりがテーマになっています。
この発祥の地が、東横線沿線という東急のイメージが地域の方々に根づいている土地柄であることから、今回の事業を東急に任せていただいたわけですが、これは東急建設という一社だけではなく、東急グループ全体が任されて仕事をいただいているのだと考えています。そうした中で、当社のブランドメッセージであるタウン・バリューアップ・マネジメントを仕事の中で発揮していくことを、作業所の基本方針としています。
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主な工事概要は別掲のとおりであるが、施設の内容は次のようになる。
・地下2階…駐車場
・地下1階…食堂、リラクゼーション室、資料室
・1階………エントランス、カフェ、事務室
・2〜3階……大、中、小の会議室、階段教室
・4階………会議室、応接室
この施設は幹部候補生の研修施設であるが、政財界はじめ各界のVIPも招く計画もあることから、キヤノンの研修施設は素晴しかったと感じてもらえるような、グレードの高い、使用感に優れ、さらに地域の環境、景観に調和した建物が要求されている。
御影石と二丁掛けタイルの落ち着いた高級感のあるベージュ系の外観、石と木を多く使い横の線を基調にしたデザインの上品な室内、自然換気など最新の環境システムを取り入れた設備、呑川本流緑道の樹木をフルに生かした建物となる。地下のレストラン、1階のカフェからは桜並木が見られる安らぎの空間をというのも設計のコンセプトだ。
南部所長「高級感のある建物の中で、充実した研修が受けられるためには何が大切なのかを、建物をつくる側が実際に感じられるよう、キヤノン担当者、当社社員、協力会社を含めていろいろな研修所の見学会や勉強会などの活動も行っています、なかでも日進月歩しているIT関係のインフラ、AVシステムをどうするかが大きなテーマで、先進的に取り組んでいる大学などを見学して、設備面等でアイディアを出しています。建物が素晴らしくても使用される方が使いにくくては意味がありません。そこで、最新のシステムが効率よく使えるよう研修を運営する人材開発部門とも定例の会議をさせていただいております」
[工事概要]
・敷地面積 2,998.43u
・建築面積 1,508.95u
・延床面積 9,208.86u
・階 数 地下2階、地上4階、塔屋1階
・主要構造 RC造、一部S造
・屋 根 アスファルト防水、
軽量コンクリート押え
・壁 せっ器質二丁掛けタイル |
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基礎躯体工事の状況 |
地域に迷惑を掛けないためには
労力を惜しまないで対応する
もともとこの地域は準工業地域であるが、周辺は住宅、マンションが立ち並んでいるので、地域近隣への細心の配慮と対応が最重要課題である。所長、主任以下全員が近隣対応に取り組み、2ヶ月に1回近隣全世帯(約200世帯)1軒ずつ廻って工事説明を行っている。地域の方たちはキヤノンがこの発祥の地でいてくれることへの理解をされており、ましてや馴染みのある東急が工事を行うのだから、しっかりとやってくれるはずだという期待が大きいという。
作業所として徹底させているのは、地域最優先で、工事用車両はルールとマナーを絶対に守ること。車輌はタイヤの泥を落として現場から出て行く。ごみを捨てないのは当然として、現場内では分別収集を徹底し、自分の生活ごみは持ち帰る。敷地から1mくらいのところに古い戸建住宅や築40年経ったマンションが多い地域なので、騒音、振動をできうる限り抑えること。その対策の一つとして、騒音を少なくするために仮囲いに折り返しをつけたり工夫している。「近隣に迷惑が掛からないようにするためには、労力をつぎ込みます」と南部所長は言う。
さらに、解体、掘削時に溜まった水は中和浄化処理をして放流するなど、環境基準を守るために適切な処置を行いながら工事を進めている。
また、周辺地盤の状態は良好でなく、水位が高く、地盤沈下を起こす可能性があるので、ほぼ敷地全周にSMW止水工法を採用し、周辺地盤に影響が出ないようにしている。
これらのことから、営業の近隣担当や土木の専門部署、技術研究所の振動部門など、多くの部署の応援体制が敷かれているという。

所員の皆さん(前列左から三好さん、南部所長、大島主任、
後列左より松村さん、水野さん、神林さん、星さん、泉主任)
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所長以下、所員の年齢が若いのも作業所の特徴のひとつといえる。世代交代が進む中で知識や技能をどう継承していくかが課題になっているが、そういう面からもこの作業所は一つのモデルケースといえよう。その中で、作業所運営について、南部所長がどんな点に力を入れているのか伺う。
南部所長「個々の能力に合った力を引き出して、動いてもらえればいいなと思っています。そして、コミュニケーションを大切にすることです。協力会社の職長さんたちも若い人が集まっていますので、お互いにいい方向にいくように舵を取るのが私や主任の仕事だと考えています。
私が職員、職長を含めてみんなに言っているのは、人に言われたり頼まれたことはメモをする。特にお客さまや上位者から言われたことは最優先で返していくということです。人は忘れることがありますから、とにかくメモをして一つずつ着実に実行して報告していけばコミュニケーションが取れるし、人に信頼される、信頼されればいい仕事ができるのだと話しています」
安全、品質、工程、環境、コスト管理の源は「コミュニケーション良く、段取り良く」であるという。
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毎週月曜日に行われる安全・工程の伝達
(座っているのは話す人の顔をよく見るため) |
「自分が工期を守ると、次の人も工期が守れるから段取りが良くなり、お互いに損をしなくて雰囲気が良くなりますよ、これを心がけてやっていこうという姿勢です。安全衛生管理に関しては、とにかく怪我をしないようにということです。怪我をすると様々な影響を与えますが、一番困るのは生計が立たなくなる本人と家族です。現場のルールは怪我をしないためにあるのですから、自分の身を守るためにもルールを守りましょうと言っています」と南部所長。
地域に迷惑を掛けないためには
労力を惜しまないで対応する
「あいつの言うことなら何とかしてやりたいというような男気のある間柄をつくって、現場を円滑に動かしてもらいたい」と南部所長が言う職長会は、躯体関係が揃って本格的な活動がスタートした。
会長をはじめ四役のもとで活動を推進しているのが、次の5つの委員会である。
・安全委員会
(パトロールの実施)
・作業通路委員会
(作業通路の点検、片付け指導)
・環境衛生委員会
(詰所・トイレの管理、清掃用具手配・管理)
・リサイクル委員会
(産廃ボックスの点検、ごみの分別指導)
・車輌委員会
(搬入車輌の整理、通勤車輌の管理)
職長会のメンバーは若々しくて元気者揃いだ。そんな職長会について、大島竜主任は次のように言う。

大島 竜主任
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大島主任「委員会ごとに責任を持っていますが、全体がバランスよく進んでいけば、みんなが作業をしやすい環境になりますから、職長会には一つ一つ着実に活動してもらいたいと考えています。若い職長さんたちですが、やる気が非常にあり、みんな一生懸命にやっています」 |
大島主任が期待を込める職長会のメンバーに話を伺う。

三上明広さん
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三上明広さん(会長/西部スチール梶E鉄筋工事)
「躯体が始まったばかりで、みなさんと会って間もない状況ですが、思ったことをざっくばらんに話ができる雰囲気になっています。この雰囲気を大切にして、職長同士だけでなく、末端までコミュニケーションがしっかりと取れ、作業所の方針が周知できるようにしていきたいと思っています。これから業種が増えてきますから、委員会の活動をより充実させて、一人一人が自覚を持って前に進んでいける現場環境をつくっていきます。今後の活動としては、ごみの分別が結構細かくて、迷っている人もいるので分別の勉強会を行いたいと思っていますし、フロアマスターをつくって安全でいい仕事がやり遂げられる体制づくりをしていきます」 |

福留真二さん |
福留真二さん(副会長/葛g田工務店・型枠工事)
「現地KYで個人の自覚を促すために、危険場所を一人一人に考えさせて発表させています。近隣の方から注目されている現場ですし、ゲートの外に出ると人通りも多いので、きちんとした行動をするようにと話しています」
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秋元健一さん |
秋元健一さん(副会長/関都建設梶Eとび工事)
「着工時からいますが、まず気をつけているのは近隣さんに迷惑を掛けないということです。音の問題等、作業所と相談を密にしながら作業を進めています。地下がかなり深くて足元も悪いので、作業がしやすい作業通路、昇降階段をつくっています。この現場は社員さんも若いし、職長も若いので、PRは“若さ!”です」
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近藤知浩さん |
近藤知浩さん(副会長/関都建設梶E土工事)
「現地KYで一つ一つ確認させて作業に入っていますが、作業時には周りに注意をしながら進めるように言っています。ルールを守れば安全で作業がしやすいですから、必ずルールを守ること徹底させています」
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中西宏之さん |
中西宏之さん(会計/叶シ原衛生工業所・給排水衛生設備工事)
「躯体工事が始まってきたので墨出しを行っています。重機作業などを行っていますから、積荷の下には絶対に入らないこと、段差やスラブの上を歩くので足元に注意して作業をしています」
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阪口正樹さん |
阪口正樹さん(書記/鰍ォんでん・電気設備工事)
「会長がみんなに話しかけて引っ張ってくれていますし、お互いに言いたいことを言い合える雰囲気をつくっています。研修にこられた方がいい思い出に残るような施設を作ります」
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国貞稔和さん |
国貞稔和さん(顧問/高砂熱学工業梶E空気調和設備工事)
「スリーブの墨出しの段階ですが、構台上での作業なので積荷への注意と、作業エリアが下の方は狭いので他職との接触に注意しながら作業をしています」
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これから工事は最盛期に入っていくが、暑い夏の季節にもなる。通勤してくる作業員のために空調設備の整った着替え室や靴置き場、休憩室を整備して熱中症対策に万全を期すという。
最後に、南部所長に一言をお願いする。
南部所長「この研修所はどこが施工したの?と話題になり、広がりを持たせられるような建物にしたいと思っています。そのためにも、ここで働いている人それぞれがいい方向で進んでいくようにと舵を取っていきます」