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(仮称)天津小湊町立統合中学校建設工事(首都圏本部)
南フランスを思わせる赤い屋根瓦とドーム
複雑な構造と形状の建物を完成させよう!
■工事場所 千葉県安房郡天津小湊町天津1033番地他
■実施工期 平成15年9月20日〜平成17年2月10日
■発 注 者 天津小湊町 町長 片桐 有而
■所 長 吉田 康明 |
千葉県天津小湊は房総を代表する観光地である。海水浴、サーフィン、ハイキング、キャンプ、名所旧跡、そして新鮮な魚介類に恵まれたこの地は春夏秋冬、観光客でにぎわう。
JR内房線安房天津駅から町道であろうか、狭い道を海のほうに向かって歩いて行くと、足場とネットに囲まれた建設中の赤いドームが見えてくる。ここが「(仮称)天津小湊町立統合中学校建設工事」の作業所である。現場に隣接する既存の天津中学校の校舎から生徒の声が聞こえてくる。
統合という言葉が示すように、天津地区の天津中学校と小湊地区の小湊中学校を統合して新しい中学校にするということで、かなり以前から統合の計画があったそうだが、少子化の波が年々進んでいることもあり、このたび事業が実現し、統合中学校の建設ということになったという。
スクール棟、開放棟、交流棟で構成されることになる統合中学校の建設は、年来の事業の実現とあわせて空の青、山の緑、そして波といった、この地域の自然環境に調和した色彩の建物ができるということで、天津小湊町あげての注目現場となっている。
主な工事概要は別表の通りである。 |
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『工事概要』
[敷 地]
敷地面積 20,803.00u
[建物規模]
建築面積 2,075.31u
延床面積 4,003.40u
施工延床 4,866.10u
構造・規模 RC造(一部SRC造) 地上4階 最高高さ 24.51m
軒 高 15.91m
根切深さ GL−3.35m
地業・基礎 杭基礎
(プレボーリング拡大根固め工法)72セット
[主な外部仕上げ]
屋 根 洋風焼成屋根瓦噴き、屋上・テラスはAS防水の上 押えCON
外 壁 コンクリート打放しの上、微弾性アクリル樹脂系こ て仕上塗料
軒 裏 アクリル系リシン吹付
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グラウンドからみた現場全景
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既存校舎を運営しながら工事を開始
| 既存の中学校を運営しながらの工事であるということと併せて、小学校とも
近接しているため、児童、生徒の安全確保と授業に支障をきたさないために、 教育委員会と学校、PTAと、設計事務所、そして東急建設からは営業担当者と
吉田康明所長が参加して意見交換を重ね、通学路の問題等の取り決めが整い、 平成15年9月20日に工事がスタートした。 |

完成予想図
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吉田康明所長
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吉田所長「既存の校舎を運営しながら工事を行うということで、区画関係を
きちんとすることが最初の仕事となりました。まず学校への進入路と現場への 進入路を盛り替えるために、既存の学校への進入路を工事用に使わせてもらい、
その脇に新しく学校への進入路をつくり、生徒の通学路と学校関係者と来客用 車両、給食車両関係の整備をしました。また、近接している小学校の児童も中
学校の敷地の中を通って学校に行くので、グラウンド工事(15年度工事)のと きにグラウンドに通路の囲いをして通学路を確保しました。
通学時間帯の問題では、午前7時30分から8時15分までは工事車両を入れ ないことになっていますが、夕方は小学校も中学校も下校する時間が決まって
いないために制約はありません。ただ、周囲は古い町の道路でかなり狭いもの ですから、工事車両は少し先にあるバイパスから入ることにしています。
学校の建設ということで、近隣の方たちは協力的で、苦情は現在1件もあり ません」 |

泉雄一郎主任
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藤野宏彦主任
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吉田所長に案内されて建設中の建物外部と内部を見ると、南フランスをイメ
ージした赤い屋根瓦、小窓が連なる校舎、近く海をイメージした波形のブライ ンドがある図書室など、従来の公立学校のイメージを払拭してしまう。そして
形状の複雑さに驚く。吉田所長によると、交流棟の尖塔はフィレンツェのドゥ オモと同じような形とのこと。
使われている瓦はフランス産で、国産のものではイメージ通りの色彩が出な いという。その瓦が着くまでに船で3ヶ月ほどかかるから、数量管理も重要な
仕事であった。そして、海からの強い潮風の影響を受けないために、沖縄と同 じ施工法で、1個1個ビス止めをしているという。 |

安全大会
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職長会パトロール
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複雑な形状と打ち放しコンクリート
吉田所長「かなり複雑な建物であり、内部はほとんどコンクリート化粧打ち 放し仕上げというのが、ここの工事の一番の特徴です。とくに交流棟(SRC
4階建て)は1階は大階段があり、あとは柱だけ、2階3階も柱だけ、4階 だけフロアがあるという構造ですから、支保工足場も下の大きな階段部分の
入り組んだところを細かい材料をやりくりしながら組んでいくという作業に なりました。しかもアールを多用した非常に複雑な形状になっておりますか
ら、型枠も1日に何uもできないというなかでやってきました」
交流棟の 柱もすべてリブが付いていて、1回コンクリートを打って型枠を解体すると 目地の部分が全部だめになるため、それを加工場に持ち帰って目地を取り、
新たな目地を持ってきて建て込みをするのだという。スクール棟、開放棟(共にRC造3階建て)も一部吹抜けやアールになっているのが目につく。そして、内部はコンクリートの打ち放しが非常に多い。
「スクール棟、開放棟は最後の仕上げに入っているところですが、空調が部分的にしかないので、打ち放しの仕上げのときに霧吹きで水をかけてチェックをしてきました。また、小さな窓がたくさんあり、ひび割れをしやすい状況ですから慎重の上にも慎重にコンクリートを打ちました」と吉田所長は言う。
吉田所長に作業所運営について伺う。
吉田所長「工程表は、現場をスムーズに進めるうえでの『明確な目標』として表したものであり、社員、各職長が工程表をよく理解し、仕事を進めることと、職長会の活用を私は現場運営の基本にしています。ここは工期が比較的長くありますから、どの棟の仕上げも均一になるように、できるだけ少人数で、固定された人数で回していくように進めています。そして、工程がスムーズに行っているということは現場が整理された状況で、安全性が高いということだと思っています。
職長会の活用ということでは、良いチームワークをつくって、一致協力して仕事をしてもらうことが安全でいい品質づくりの条件です。ここの職長会には非常に良くやってもらっています。休憩所はピカピカですし、現場もきれいですし、不安全な箇所がないかどうかきちんと見てくれています。先日の災害防止協議会で現場が良く整理されていると言われましたが、非常にうれしい思いがしました」
安全面に関して吉田所長が安全大会等で皆に言うのは、安全は個人個人の意識の集まりであり、自分たちでつくっていくものだ、安全にやろうという意識がなければ品質についてもきちんとしたものができないということである。そして「急がば回れ、近道をしたらダメ」と言う。
地域あげて注目の工事もあとわずか
複雑な構造と形状、コンクリート打ち放しの建物は職長会のチームワークなしでは不可能だと吉田所長は言うが、その職長会の会長と副会長に話を伺うことにする。

高橋登志夫会長
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高橋登志夫会長(笈苡繿g・とび工)
「職長会の主な活動としては、職長会パトロールとフロアマスターがあります。パトロールは毎週月曜日に行い、悪い箇所があるとすぐに是正をしています。フロアマスターはフロアの清掃管理などを行いますが、手に終えないという報告があると、最初のスローガンは一斉清掃をなくそうということでしたが、一斉清掃できれいな現場維持に努めています。また、グラウンドは夜間照明があって一般の人も日曜日や夜に出入りしていて、タバコの吸殻などが落ちているので、1ヶ月に1回グラウンドのごみ拾いをしています。
安全面では現地現物のKYKの実行、そして安全帯の着用、使用は常識なんだよと口を酸っぱくして言っています。
自分自身、こういう複雑でむずかしい建物は好きです。工夫してやるのが面白いし、こういう変わった建物はなかなか経験できるものではないですから。
今まで無事故でやってきましたから、最後まで事故なしでやります。せっかくいい建物ができても、事故が起きたら何にもならないですからね」
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平野正和副会長
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平野正和副会長(青木左官工業求E左官工)
「学校の仕事はこれまで何回もありましたが、こんな形のは初めてです。学校というイメージでなく、ペンションみたいです。安全面で注意しているのは足元の片付けと整理整頓、開口部の確認、安全帯の着用です。会長とのコンビは2回目で、気心が知れていますから、仕事も職長会もやりやすいです」
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吉田孝助副会長
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吉田孝助副会長(鞄。江木工所・造作大工)
「最初、副会長にと言われたとき、え、自分でできるの…?と思いましたが、建物を最後までうまく仕上げるためには、職長会がチームワークよく一体になってやらなければいけないなと感じています。仕事でも安全面でも心がけているのは、横着をしないことです。電ノコを使う場合でもきちんとした台の上でやらなかったりすると大怪我のもとになりますから。いつも所長が言っているけど『急がば回れ』をモットーにしています」
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取材にうかがった時点(10月初旬)ではスクール棟と開放棟は仕上げ工事に入っており、交流棟はこれから屋上ドームの外部足場と内部足場を組み、鉄骨の母屋を組んで耐火野地板を張っていくという作業にかかろうとしていたが、平成17年2月の竣工をめざして、吉田所長は次のように話す。
吉田所長「支保工の足場など高所での作業がまだありますから、最後まで十分注意して作業を進めて、地域にかけがえのない建物、学校として喜んでいただける、いい品質のものに仕上げたいと思っています」
日の出の美しい房総半島の天津小湊に、美しい校舎が出来上がるのも、あとわずかである。
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昼の打合せ
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