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道前道後平野農業水利事業
志河川ダム付替道路(その16)工事(大阪支店)
「環境と地元の住民にやさしく」をモットーにして
全工期無事故無災害でいい品物を造りあげよう
■工事場所 愛媛県周桑郡丹原町楠窪地内
■発 注 者 農林水産省 中国四国農政局
■工 期 平成16年3月30日〜平成16年12月4日
■所 長 杉田 真也 |
四国沖にあった熱帯低気圧が突然台風となり、四国地方を中心に襲った8月上旬、「現場を訪ねて」の取材のためJR予讃線壬生川駅を下車する。気象情報では愛媛県は雨のはずだが、太陽がぎらぎらと輝いている。現場に向かうタクシーの中で、運転手さんは「愛媛県でも南の方は雨でしょうが、このあたりは山に囲まれていますし、石槌山がありますから雨が降らないところです」と言う。
作業所のある愛媛県周桑郡丹原町は西日本一の高峰、日本七霊山の一つ石鎚山(標高1982m)の西側に位置しており、四国霊場八十八箇所を巡礼するお遍路さんをよく見かけるところである。そして、"五感にうったえる「ふれあいとであいのまち」丹原町"というキャッチフレーズのとおり、お遍路さんをあたたかく迎え、疲れを癒してくれる土地柄である。
工事を行っている地区(道前平野)は瀬戸内海に面し、雨量の少ない地域にあるため河川の流量が乏しく、昔から灌漑用水が不足し、しばしば旱魃の被害を受けてきた。そのため、ため池を築くなど用水確保に涙ぐましい努力を重ねてきたという。
志河川(しこがわ)ダム(平成19年度完成予定)はこの地域の農業用水安定供給を図るため計画されており、今回の工事はそれに伴う町道(生活道路)の付替工事である。

コンクリート舗装用機械
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工程に工夫を重ねて難問をクリア
山裾を走る車はやがて事務所に到着。所長と主任の、所員が二人だけの作業所と聞いていたので小さな事務所を想像していたが、2階建ての広い建物で室内は整理整頓が行き届き、非常にきれいだ。杉田真也所長によると、この前まで他社が工事事務所として使用していたものを引き継いだとのことで、掃除も杉田所長と三善俊明主任(監理技術者)の日課になっている。ここから大阪まで特急と新幹線を乗り継いで4時間はかかるから、杉田所長は2階で寝泊りをしており、家に帰れるのは月に1回がやっとだという。

杉田真也所長
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杉田所長「これまでずっとトンネル工事を担当してきましたが、大きな現場でしたから所員の数も多くローテーションが組めて、隔週くらいで家に帰ることもできましたが、ここは二人のうち一人は必ずいなければなりませんし、会議や打合せが結構ありますからローテーションが組めないんです」
そんな苦労もある作業所であるが、それにプラスして大変だったのが、工期がただでさえ短い上に、一般開放が8月1日(道路、トンネル)と12月1日(橋梁)という工期内工期という制約に加えて、当初の設計の見直しと再調査等をしなければならなかったことである。
「私が所長として仕事をするのは、この現場が初めてなんです。トンネルと違う工種を久しぶりにやれるし、ちょうど手ごろな現場で自分を試すのにはいいな、最初の2ヶ月の間に方向性と段取りをきちんとつけておこうと思ってやってきたのですが、いざ来てみると設計の見直しをしなければならないことがわかり、再調査をして設計変更、工法、施工範囲の見直しなど思わぬことが起きました。このままだと落石対策工も橋梁工事である鋼製ラーメン桟道橋工の鋼材の発注もロールが毎月20日期限になっており、5月20日までに発注しないと絶対に間に合わないという状況で、最初の2ヶ月は胃の痛くなるような毎日でした。工程管理の工夫と苦心と皆の頑張りの甲斐あって、現在はこちらで考えた工程にきっちりと乗っています」と杉田所長。
工程を軌道に乗せるために、他工区との調整、連携も作業所の重要な仕事であったが、これも良い結果となっているという。
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三善俊明主任
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工事内容は次の通りである。
[工事内容]
・鋼製ラーメン桟道橋 L=50.18m
全幅員 W=6.2m I型鋼格子床版(t=180mm)20.3t
鋼管杭φ500(L=7.5〜15.0m)18本
・落石対策工
密着安定型ネット工 3,400u
・トネンル照明設備工 1式
・付帯工 1式 |
地域と環境を大切にしながら工事進行
取材に伺った時点では落石対策工(法面の防護工)、道路舗装(トンネル2本の舗装含む)、トンネル照明設備工が終わり、鋼製ラーメン桟道橋工が始まっていたが、落石対策工には特に気をつかったそうだ。というのは、付替道路の入口の斜面は道路までの高低差最大68m、勾配70度のところでの施工であったからだ。

落石対策施工の状況と施工後の状況
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杉田所長「今でこそ法面の前に安心して立っていられますが、防護をする前は岩がむき出しになっていてオーバーハングの状態でしたから、雨のたびに大きな石が道路に落ちてきました。そんな状態でしたから、調査を行い、設計の見直しをして施工に入りました。施工方法は、まず最初に下に落石防止用の大型土のうを積み、草を刈りながら浮石などを下に落とし、それをすべて撤去したあとで上から施工していき、ネットで防護するというもので、工事中は工事関係者であっても立入禁止にしました。そして、上下作業は絶対にやらないよう毎日繰り返し言いました。非常に危険箇所での工事で、工期も厳しい中で皆さんに良くやってもらい、事故もなく終えることができました」
安全衛生管理の重点項目は次の通りとなっている。
・墜落転落災害の防止
・重機クレーン災害の防止
・飛来落下災害の防止
・第三者災害の防止
「新規入場時教育のときに周辺環境を踏まえた作業所の決まりを教育しました。絶対に事故を起こさないというのはもちろんですが、地域住民から苦情の出ないように工事をするというのがもう一つの大きな目標です。周辺には田畑などがあって地域の人たちが出入りしていますから道路を汚さないこと、農耕車がいくらゆっくり走っていても追い越しをしないように、地域優先を徹底するようにと言っています。また、周辺を流れている川は水がものすごくきれいですから、汚さないようにすること、生コン車は現場で洗わないで帰ってから洗うということにしています」
地域との良好な関係の中で工事を進めるため、志河川ダム関連の他工事と連携をとりながら取り組んでいるが、そのうちの2、3を紹介する。
・志河川ダム安全協議会の会議を毎週金曜日に行い、各社の週間工事予定、施主からの要望事項あるいは地元からの苦情、要望について打ち合わせを行っている。
・6月と9月に町道の草刈りと清掃(志河川ダム協議会)。
そして、隣の工区を担当している大成建設と合同で、橋梁工事が完成したあとに地元の小学生による見学会を行い、橋梁の名称を募集しようと作業所では考えている。
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鋼製ラーメン桟道橋工が始まった
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条件変更によるあわただしさも静まり、工事は着々と進んでいるが、落石対策工事の指揮をとった増岡孝英さん(ケミカルグラウト梶jに話を伺う。
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増岡孝英さん「最終的に密着安定型ネット工法が採用になりましたが、この工法は網を張ってアンカーを打ち、網が張り終わってからロープを縦横に張るというもので、通常の網よりも径が大きく厚みがあり、その中に土がたまって草木が生え自然の状態になりますから、自然調和型落石防護工と言われています。今回の工事は半端な勾配ではないし、高さもありましたから、皆が自然に気を引き締めざるを得ないということで、安全確保の面では逆に良かったかなと思っています。
ただ、一番暑いときでの工事でしたから、大変だったのは熱中症対策でした。斜面は一日中陽が当たる場所で、特に網を張ったあとは網が金属ですから、その照り返しがすごいんです。スポーツドリンクを用意したり、現場の休憩所にクーラーをつけたり、日よけ用のヘルメットとか、さまざまな対策をしながら工事を進めました」
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現在、鋼製ラーメン桟道橋工に入っているが、職長の今村忠志さん(JFEシビル)は次のように言う。
今村忠志さん「四国での仕事は足掛け5年で単身赴任が長いので、アパートを借りて住んでいます。工事は始まったばかりですが、高所作業が多いので墜落転落災害がないように、危ないと思ったら危ないところには行かないようにと注意しています。また山の中での仕事で暑かったり寒かったりという環境ですから、作業員の状態を良く見るようにしていますし、夕食を皆と一緒に食べながら不都合がないかなど聞いています。そして、朝礼のときに具合が悪そうだったら帰すことにしています。今回の工事は工期があまりありませんが、技術には誇りをもっている工種ですから、いい品物を工期内に渡せるよう努力したいと思います」
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最後に杉田所長の言葉である。
「都会にはない素晴らしい自然環境の中での工事ですから、『環境にやさしく、地元住民にもやさしく』をモットーにしなが、全工期無事故無災害でいい品物をお渡しできるように、皆で力を合わせながら工事を進めていきます」
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