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■みどり 90号
●巻頭言

先縁尊重


東急建設鰹務執行役員
〈事業管理担当〉原田 捷二

 昨今、建設業界全体で「施工管理技術の低下」「技術の継承不足」等を危惧する声を耳にする中で、しみじみと、自分の過去施工物件を思い出すと、大突貫工事の山崎製パン武蔵野工場、海抜1,000mの蓼科地区当社一号物件の蓼科東急リゾート、設計施工の最初の超高層建築・八重洲富士屋ホテル、戦中南方司令部のあった南海の島のPalau Pacific Resort、2年余の工期のコンサートホールを持つ複合施設・東急文化村…。
  一つ一つに思い出があり、厳しくも優しく仕事を教えてくれた先輩、手取り足取り仕事の段取りを教えてくれた職人の親父さん・・・・・・・・・。
  自分の人生の中で、その節々に必ずお世話になった人がいました。両親、家族、先生、学友、先輩、同僚、協力会社の社長さん・番頭さん、職人の親父さん・・・・・・・・・。この多くの人たちへの感謝・尊敬の気持ちを何時までも持ち続けること。
  私は、この「先縁尊重」の気持ちを大切にしています。
 16年度経営方針の一つに「お客様、エンドユーザーの満足度を高める施工管理の技術、ノウハウの共有化」があります。「巻頭言」でも多くの先輩諸氏により「経験・技術の伝承」の重要性が述べられていますが、これは施工に携わる技術系社員のみでなく、建設事業に携わる全社員と「匠」の技術集団である協力会社の皆さんとが共に叡智を結集し、共に技術向上をはかり、ノウハウを共有することであると思います。今、受注競争の激化の中、企業存続のため収益をあげ、環境に配慮しつつ、より高品質の構築物をより安全に創り上げるために、先輩諸氏より伝承された技術・ノウハウを次世代に継承させることが我々の世代の責務と思います。
 一方、若い人たちには「感性」を意識していただきたい。漠然と現場を歩き、見るのではなく、「これは一寸収まりがおかしいぞ」「ここは一寸危ないぞ」・・・・・・そんなことに気付く「ヒラメキ」「感性」を・・・・・・・・・養っていただきたい。
  これは経験と知識に裏付けられるもの。これらを意識し、職人さんが効率よく働けるよう段取りをし、無駄を省き、協力会社さんとの共存共栄を意識しながら、技術を磨き共有し継承させて行く、そんな社員集団として行きたい。

●ズームアップ
平成16年度安全大会を開催
  『危険をみつけて取り組む改善 トップの決意とみんなの実行』


首都圏本部/鉄道本部と首都圏・鉄道支部共催の平成16年度安全大会
 『危険をみつけて取り組む改善 トップの決意とみんなの実行』をスローガンに、平成16年度の安全大会が6月15日の九州支店・支部を皮切りに7月15日の札幌支店・支部まで、全国の本部、支店・支部で開催され、災害防止への決意を新たにしました。
  東京・目黒の駒場エミナースで7月5日に開催された首都圏本部/鉄道本部と首都圏・鉄道支部共催の安全大会は、広い会場も518名の参加者でぎっしりと埋まりました。
  大会第一部では黙祷のあと、南部首都圏本部長と飯塚鉄道本部長の挨拶、安全表彰、来賓祝辞と続きました。安全衛生表彰では無災害賞(平成15年度完成工事)、安全衛生管理 個人部門(安全衛生管理功労賞、安全衛生管理優良賞)で60作業所、33名が受賞しました。また、災害防止協力会本部表彰として6職長会が白岩会長より受賞、橋首都圏・鉄道支部長より安全衛生貢献賞として3名に表彰状が授与されました。
大会第二部では三遊亭円遊師匠による特別講演「笑いとゆとりでめざせ0(ゼロ)災」があり、会場は笑いの渦となりました。
 最後に小関支部安全教育部会長の安全宣言があり、平成16年度安全大会は盛況のうち終了しました。

平成16年度安全大会開催報告


[札幌支店・支部]
7月15日 札幌東急イン 75名参加
講演:佐藤安弘(スポーツキャスター)

[名古屋支店・支部]
6月22日 名古屋栄東急イン 117名参加

[東北支店・支部]
6月25日 仙台エクセルホテル東急 156名参加
講演:三宅義信(金メダリスト)

[大阪支店・支部]
6月18日 大阪テイジンホール 263名参加
講演:山本健治(ニュースコメンテーター)

[住宅本部・支部]
6月30日 渋谷エクセルホテル東急 100名参加
講演:安全ビデオ「施工会社の安全管理」他

[九州支店・支部]
6月15日 博多エクセルホテル東急 220名参加


平成16年度第1回災防協本部安全巡視を実施

 平成16年度第1回災害防止協力会本部安全巡視が全国の14作業で実施されました。これまでの本部安全巡視は本部役員による秋の1回だけでしたが、平成16年度より年2回の実施となり、さらに本部役員に加えて他支部から支部長もしくは副支部長も参加することになりました。  
 7月2日に実施された首都圏本部の武蔵工業大学工学部図書館棟新築工事と(仮称)藤和湊三丁目計画新築工事には、本部役員として橋副会長と永沢総務部会長、他支部からは菅井札幌支部長、本社から浅賀安全環境品質部長も参加して巡視を行いました。  
  他の作業所での安全巡視も、まず所長より工事概要の説明を受けたあと現場の巡視に入り、場内でも詳しい説明を受けました。巡視後は職長さんたちにも集まってもらい、職長会の活動などについての質疑応答がありましたが、今回は猛暑の中で行われたため、熱中症対策についての話が熱心に交わされました。


武蔵工業大学工学部新図書館棟新築工事作業所(首都圏本部) 7月2日実施



第二東名高速道路上川高架橋(下部工)下り線工事作業所(名古屋支店) 7月22日実施

●現場を訪ねて
13号線渋谷一工区土木工事
東急建設本社前の明治通りの直下30mで
3副都心を結ぶ注目の地下鉄工事を施工


■工事場所 東京都渋谷区渋谷1丁目16番地先
                     〜1丁目14番地先
■発 注 者 東京地下鉄株式会社
■工  期 平成14年3月20日〜平成17年12月19日
■所  長 釘本 英治
[工事規模]
開削トンネル工法による地下鉄駅部工事、構造3層3径間 施工延長110.5m、平均掘削幅25m、平均掘削深さ30m
路面覆工:2,700u、柱列式地下連続壁:2,600u
土工量:74,000立方メートル、コンクリート:17,700立方メートル

 池袋、新宿、渋谷という東京の代表的な街中を走る明治通り。そんな明治通りの中でも、沿道には飲食店やホテル、遊技場などが立ち並び、昼夜車と人の流れが絶えない繁華なエリアに東急建設本社がある。その本社前から渋谷駅に向かう明治通りの直下で行われているのが、地下鉄13号線の渋谷駅工事で、今回の「現場を訪ねて」は、本社の目の前で進められている「13号線渋谷一工区東急・東鉄建設工事共同企業体 東京メトロ渋谷作業所」である。  
 地下鉄13号線は埼玉県の和光市から、池袋、新宿を経て渋谷に至る延長約20kmの路線であり、和光市から池袋の約11kmについては東京メトロの有楽町線として現在営業されている。  
 今回の工事は、池袋から渋谷までの8.9kmを施工するもので、工事が完成すると池袋、新宿、渋谷の3副都心を結ぶ新たな地下鉄路線が整備され、既存の鉄道およびターミナル駅の混雑緩和が図られると共に、地域の活性化が期待されている。開業は平成19年度の予定となっているが、さらに東急東横線との相互直通運転も24年度に予定されており、完成すると東武東上線、西武池袋線、東京メトロ13号線、東急東横線とのネットワーク化が実現される。

大型地下埋設物に全神経を集中!

 猛暑真只中の7月下旬、作業事務所を訪れ、釘本英治所長と今村健司副所長(監理技術者)に工事の概要、特徴についてお話を伺う。  
 釘本所長「開削トンネル工法による地下鉄駅部工事で、現在は歩道切削、埋設物支障移設、柱列式地下連続壁、せん孔鋼杭、路面覆工、埋設物専用桁を終えて、掘削、埋設物防護の工事に入っています。
 工事に当たり作業所として特に注意しているのが、都心部の幹線道路である明治通りには水道管やガス管など重要な地下埋設物が数多くあり、そこを約30m掘削するので、まずライフラインを絶対に損傷しないことです。それから繁華街の中での工事ですから、沿道との工事調整や歩行者通路の確保、騒音・振動対策他、環境への配慮が非常に重要になり、それがこの工事の特色にもなっています。例えば騒音・振動対策として電動化掘削機の使用や、地球温暖化対策としてCNG車を使用することによって二酸化炭素の発生を抑制する対策も採っています」  今村副所長「地下埋設物の設計図書はありますが、1mくらいずれていたなど、埋設物がその位置にあるかどうかはわからないので、必ず試掘調査をしながら作業をしています。埋設物支障移設は構造物の位置関係によって道路の外側に出したり、内側に入れたりしていますが、基本的には内に入れるということにしています。
 柱列式地下連続壁工法で、環境面での技術的特徴がありますが、削孔の工夫により従来の工法より排泥量を60%くらいに抑えて環境負荷の低減に気をつかっています」 沿道との工事調整、通路の確保は周辺の店の営業をストップさせないということから、作業帯の取り方一つとっても非常に制約を受ける。朝方5時頃まで営業している店もあり、そんな場所では作業帯を迂回させたりするなどして通路を確保しなければならないという。特に路面上での杭打ちと覆工の時は極めて難しい日々であったであろうと思う。



作業状況

釘本英治所長
 一方、内部的な対処として、釘本所長は次のように言う。
 釘本所長「4年間という長い工事ですから、皆の気持ちをいかに良好な状態に持続させていくかを考えています。この工事は杭工事、路面覆工、掘削、構築という4つの山があり、その山を節目にして安全大会や親睦会、安全教育の実施というように、皆のモチベーションを高めるようにしています。現在は一次掘削がやっと形ができたかなという状態ですが、年末から年始にかけて掘削という第3段階の一部をクリアできるだろうと考えています。そして、最後の構築となっていきます」
 約4年間の長丁場の工事ではあるが、工程的には非常に厳しいのが実情だ。そこで、できるだけ山を少なくして工程の平準化をする、作業員が2時間も3時間も残業することがないように人員の配置、工程の組立てをして、ムリ・ムラのある作業をしないように日常管理をするというのが作業所の方針である。  
 安全対策として、次のことが掲げられている。
 1) 作業所方針  
   『危険ゼロ』を目標に快適な職場環境作りとルールの遵守を実行する。
 2) 施策
  (1)創意と工夫
  (2)ルールの遵守
  (3)チームワーク
  (4)コミュニケーション
  (5)根気
  (6)ムリ・ムダ・ムラを無くす
  (7)5Sの実行(整理・整頓・清掃・清潔・躾)
 3) 安全スローガン  
   『安全は、明るい雰囲気と、整理・整頓された快適職場環境から』  
 釘本所長「長くこの仕事をやってきて、明るく整理・整頓された現場が安全で、いい仕事をする基本になるのではないかなと思っています。それから、格好いいことをいくら言っても、それをやる人が守らなくては意味がないので、一番根底においているのは、やって貰えるような形にすることです。決まりごとをたくさん作っても覚えられるものではありませんし、日々の作業の中で安全に仕事をしようという気持ちがない限り事故はなくなりません」  
 ということで、施策も簡単で覚えやすい言葉になっている。

今村健司副所長


A線作業帯


C線作業帯

B線作業帯

C線常設帯

無事故無災害で、いいものを造ろう  

  5月末の時点で延労働者数21,943人、延労働時間184,486時間、無事故無災害であり、最終的には延労働時間は40万時間近くになるというが、無事故無災害でいいものを造りたいというのが皆の目標である。その先頭に立つのが職長会のメンバーであるが、今村副所長は職長会の活動に対して次のように話す。  
 今村副所長「会長がリードして意見も活発に出て、非常に良くまとまっている職長会です。昼と夜にパトロールがありますが、そのときは二次以下の業者も呼んでやっていますし、非常に頑張ってくれています」  
 職長会の主な活動は、一斉清掃、職長会パトロール(2週間に1回/結果および是正等は書類に残してJVに報告)、休憩所の管理、安全大会のイベント企画などである。

職長会の皆さん(写真向って左より須賀悠人さん、関根 勉さん、
渡辺浩正さん、町田正法さん、田村一夫さん)

 24時間体制の工事の中で、率先して作業しやすい環境づくりを実践している職長会のメンバーに集まっていただき、話を伺う。  
 渡辺浩正さん(会長/白岩工業梶j「一般道路を作業基地にしているので誰に見られても恥ずかしくない現場をめざして、資材の置き方、作業帯の出し方には気をつかっています。沿道の受けもよくなければいけないので、周りの歩道の一斉清掃を週1回行っていますが、杭工事と路面覆工のときには作業帯の関係もあって、ごみの収集の手伝いもしました。また、施工区域には水道、ガス、電気などのライフラインが通っていて、それを損傷させると社会的に大きな影響を与えるし、大事故にもつながりますから、特段の注意をしながら施工しています。皆が協力しあいながら作業しやすい環境にして、いいものを造ろうという目標で進めていますが、JVをはじめ工事関係者の皆さんがものを言いやすい環境にしてくれていますから、遠慮なく意見の交換が出来ます。  
 個人的には地下鉄、鉄道工事ばかりやってきましたが、自分の携わったところの電車に乗ると、世の中のためになっているんだなと思います」  
 関根 勉さん(牛pL興業)「掘削、残土の運搬をしていますが、昼夜車と人が通っていますからダンプやトラック、重機が第三者災害起こさないように、そして周りに迷惑をかけないよう気づかい、心づかいをするようにと、会社で送り出しのときに徹底させています。これから掘削深さが高くなってきて、作業が毎日同じことの繰り返しになりますから目標を決め、メリハリをきちんとつけてチームワークよく作業をしていきます」  
 田村一夫さん(企画委員/白岩工業梶j「これから足場関係に入っていきますが、とにかく怪我のないように気持ちを引き締めてやっていきます。目立つ現場で歩行者も多いので、周りに気をつかいながら安全第一でいきたいと思います」  
 町田正法さん(環境委員/白岩工業梶j「はつり作業をしていますが、暑いので作業に入る前に製氷機で氷を作って各グループに配っています。そしてお互いに声を掛け合い、皆の状態を確かめ合いながら作業をしています」  
 須賀悠人さん(会計/白岩工業梶j「施工管理をしていますが、声を掛け合うこと、無理な作業をしないことを心がけています。JVもよく話を聞いてくれますからチームワークがよく、皆が自分の現場だという意識を強くもっています」   

 無事故無災害で、いいものを造り上げようという目標に向かって発注者、JV、協力会社が一体となって進めている工事も、完成まであと2年弱。新しい交通ネットワークの開通が待たれている。

災害防止協議会

歩道には工事の説明と地下鉄ができるまでの看板がある

 

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