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■みどり 89号
職長活動実践記
楽しく仕事をやるために明るく挨拶をして
 皆で気持ちのいい、きれいな現場にしよう


(仮称)エクセレント赤坂乃木坂タワー新築工事(首都圏本部)
 ◆工事場所  東京都港区赤坂9-6-39
 ◆発 注 者  新日本建設株式会社
 ◆契約工期  平成14年11月1日〜平成16年8月31日
 ◆所   長  入江 修


 清掃の行き届いた階段を上り、フロアの中に入ると、フロアマスターと職長会語録が掲示されている。語録には「これでよし、いやもう一度これでよし」という言葉が、1階上のフロアには別の語録というようにフロアごとに違う語録が張り出されている。これらは、作業員全員に募った標語から選ばれたものである。
 「職長会会則 基本方針」
 @ 横のつながりを持って作業所全体の調和を図る  A 日々の清掃を完遂し、一斉清掃を行わない  B ごみの分別収集の徹底  C 人任せにしない  D おかげさま
 この基本方針が目につきやすい場所に掲示されているが、他にも「職長会五気」というのもあり、5つの勇気を宣言している。
 ・守らせる勇気 ・守る勇気  ・注意する勇気 ・受ける勇気  ・あたえる勇気
 この「職長会五気」について三浦前会長(渇ャ野工務店)は「チームワークが事故のない職場づくりの基本ですが、仲良くなると注意をする勇気、受ける勇気がなくなることがありますから、親しい仲にも礼儀ありということで、お互いに名前を呼び合い注意をしよう、そして注意するだけでなく、自分から進んで片付けなどをしていこうという気持ちを込めています」と言う。
 島崎会長(川本工業梶jは「片付けが行き届いているし、意思の疎通がいい職長会ですから、皆で力を合わせてしっかりと引き継いでいきます」と、二代目会長としての決意を語る。
 入江所長は次のように話す。
「気持ちよく働ける現場づくりのために、会長を中心に本当に良くやってくれていますし、工事主任も側面から職長会をバックアップしてくれているので、皆と一緒にやってきて良かったと思っています。このまま続けていけば、いい現場でいい建物をつくったという喜びを皆で感じてくれると思います」

「次工程は、お客様」の合言葉を交わし
 仕事がしやすい現場環境づくりを進める


熊本北郵便局(仮称)新築工事(九州支店)
 ◆工事場所  熊本県菊池郡菊陽町津久礼3332-1外20筆
 ◆発 注 者   日本郵政公社
 ◆契約工期  平成15年3月25日〜平成16年8月20日
 ◆所   長  門乢(もんたわ) 康尚

 朝礼広場の掲示板に「次工程は、お客様」という大きな文字の下に、「ひとかたづけ」「ひとしごと」というイラストが掲示されている。これは、働きやすい職場環境づくりのポイントを簡潔に示したもので、次に入る協力会社をお客様と考えて、片付けと清掃をきちんと行い、お互いに仕事をやりやすくしようということである。
 広い場内は片付けと清掃がきれいにされており、「次工程は、お客様」という考えが、皆に浸透して実行しているのがわかる。
 現場が始まって3ヵ月後に職長会が発足したが、本田会長(株園建設)は「初めて会う人が多く、お互いに遠慮しているところがありましたから、まず挨拶をすることと、焼肉大会などのレクリエーションを行い、皆の気持ちがほぐれるようにしました」と言う。
 やがて「ご苦労さん」の言葉が交わされ、週1回のパトロール後に開かれる職長会で、どうしたら現場が良くなるのかという意見が活発に出され、コミュニケーションが非常にいい職長会となり、それが作業員にも浸透し、働きやすい職場を実現させることになった。
 職長会の活動として、自主パトロール以外に場内清掃管理、駐車場管理、安全大会(月1回)表彰者の推薦、レクリエーションの企画等々があるが、本田会長から引き継ぎ、次の会長になる菅原さん(福居建装梶jは「非常にいい職長会ですから、皆さんに協力してもらって、明るい挨拶が続く現場にしていきたいと思います」と話す。
  門乢所長は職長会について次のように言う。「職長会を作るに当たって、仕事がやりやすいように担当を決めなさいとだけ話しました。無事故で作業を進めることと、彼らの会社に利益をもたらせることが職長会の大きな目的だと思っています。それを達成するためには、お互いが仕事をやりやすくなるように職長同士が話し合って自主的に進めていくことですが、合格点をあげられる職長会だと思います」と話す。
●技

難しい仕事ほど楽しさがあり
次への挑戦心を与えてくれる


三浦 邦文さん(60歳) 株式会社 荻野工務店 (首都圏・鉄道支部) 型枠工事


 青森で木造大工を自営でやっていましたが、景気も悪くなり仕事がなくなってきたので、東京に出てきて造作の仕事を始めたのが15、6年前でした。2年くらい造作をやり、そして現在の型枠というのが、私の仕事の流れになります。
  しばらくやっているうちに、今の会社から誘いがあり、職人を貸してもらって家内と一緒にやっていましたが、だんだん人が集まるようになり、現在は19歳を最年少に、すべて20歳代の若者7人を抱えるようになりました。彼らがいい職人に育っていくのを見るのが楽しみとなっています。
 私が座右の銘にしているのが「たゆまぬ努力」です。時には腹の立つこともあるし、辞めてしまおうかという気持ちになることもありますが、そんな時、この座右の銘に諭されるわけです。
 そして、こんな詩で自分自身への励ましにしています 。
  「技」 技は極められない物 必ず遣り残した事がある その遣り残しが次への挑戦でもあり これらの積み重ねが 経験と技ではないだろうか
  「仕事」 仕事は私の恋である 愛しい物に向かって行く事には 苦しい事はない どんなに遠かろうと どんなに険しかろうと
 好きなものに向かうことは幸せであるし楽しい それがものづくりだと確信している

現場は自分の大切な家と思い
心のこもった仕事を続けていく


菅原 富生さん(36歳) 福居建装株式会社 (九州支部) 内装工事


 高校卒業後、専門学校を出て、他の仕事に就いていましたが、友達に誘われて今の仕事に入りました。内装工事というからイメージ的に軽い仕事と思っていましたが、実際は軽鉄、ボードですから、こんなに重いものを使うのかと、材料の重さに驚きました。
 ちょうど20歳のときで、体の節々が痛くて大変でしたが、絶対に負けないぞという気持ちでした。
 親方や先輩からは、仕事のスピードを上げるためには人と同じことをしないように、自分で工夫しなさいと言われました。この助言のおかげで、自分の技術を高める工夫をしながら仕事をするという習慣が身についていきました。そういう目で見ると、同じ現場というのはなく一つ一つが違い、新しい経験になっていくのが実感できました。
 この間16年が経ち、数え切れないほどの現場を担当してきましたが、結婚式場や温泉施設などアールが入った曲面の建物を多くやらせてもらいました。これらは円形、楕円形などが組み合わされている複雑な形状ですから、難しい仕事ですが、逆にファイトが沸いてきます。建物の大小に関係なく、現場を終えたときの開放感はなんともいえません。
 現在、かなりの人数を預かっていますが、「怪我をさせたくない、怪我をしたくない」ということが自分自身の一番の使命だと考えています。そして、皆にいつも言っているのは、「基本を守り手を抜かないよう、現場は自分の家だ、生活をしている場と思って仕事をしよう、使う材料を大事にしよう」ということです。
●安全担当者活動日誌

少しでも多くの現場で声を掛け
一緒に知恵を出していく


 いつもお世話になっております。災害防止協力会のご好意により、私の日々の業務を『みどり』に取り上げていただくことになった。わざわざカメラマンが私の後を追っかけて、現場から社内まで撮影してくれたものの、生来、作文嫌いの私が、原稿の執筆をほったらかしていたところ。携帯に不穏な着信が・・・。


小野瀬 良一
棋泰工務店 安全課長


4月○日(木)  
自主パトロールで、東扇島にある東急ストアーの物流センターの現場に来ている。ここは、当社が請け負っている中でも1、2の規模。海沿いでほぼ毎日、風が強い。倉庫のフロアーは階高があり、内部足場も必然と高く、仕上工事も外部同様の高所作業となる。
 当社では4人の工事担当者(現場代理人)と私で、毎月の災害防止協議会以外に、すべての現場を自主パトロールするスケジュールを組んでいる。私は工事担当者と連携し補う形で、現場へ足を運ぶことになるので、同じ現場を毎月見ることは難しい。今日のように工事担当者と一緒なら、進捗の把握や責任施工の範囲が明らかで、パトロールの機動性も高いのだが。独りのこのこバックパックを背負って、電車の中で文庫本を貪るスタイルも嫌いではない(電車の中って、作業服で座っていると、そばに人が寄って来ない?)。
 まずは現場事務所にご挨拶。話し好きの所長は、取っ掛かりからまくし立てる。現場で最初に見るのは、KYボード。事前に手配を確認しても、広い現場ではどこで作業しているのか、ここまで来ないとわからない。ここの職長は私より筆が立つようで、しっかりしている。3階でローリング足場(といっても7段)を解体中。足場解体中の事故が多いと、お上からのお目付けが厳しい当社では、作業手順の確認が至上命題。「ちょっと安全帯の使い方が甘い」と職長に釘をさす(そんなに偉そうなものでは?)。詰所で休憩中の職人さんたちと懇談しながら、巡視結果と是正方法をまとめる。現場事務所へ戻って、所長へご報告。熱心な所長は小言も多いが、『凡事徹底』している。図面を使って再打合せをして、次の現場へと車を転がす。

まずはKYボードを見る

橋哲工事担当から進捗状況等を聞く

斎藤友章職長と解体作業が手順  
どおり行われているかチェックする

屋上を斎藤職長と見て回る

詰所で職人さんたちと懇談

現場事務所へ戻って所長に報告


4月△日(月)
 会社で事務処理。定型業務は殆どパソコンで。10年もやっていれば、ひな型もある程度揃っているし、EXCELになってからは格段に楽。一つだけルーチン化せずに、手書きに徹するのは労災の赤紙。葬式の香典袋のようで、買い置きはしない。そう云えば、災防協のホームページでも、一番使いこなしている(?)のは訃報。『義理と人情』は、うちの社長の口癖だ。
 この後、療養中の職人さんに付き添って病院へ。都内の病院の地図は、随分と頭にインプットされた。被災者との付き合いも、長い場合は3年にもなることが。その人の人生を垣間見る。


4月□日(火)
 毎月定例の安全衛生協議会。当社の協力会社も含めて、職長を招集する。最近は安全帯のU字吊りの一件で、カラビナの問題がどうにも収拾がつかない。職人さんからの質問は法律や行政指導に関するものも少なくなく、安全環境品質部からお下がりを譲り受けた安衛法便覧が、しばしば活躍する。1年古いが、インデックスも整えられており、重要な所には線や付箋が残っている。皆さん、調べる所は似通っているようで、後で相談に伺った時にも話が通じやすい。我ながらちゃっかりと、時間とコストセーブ(いつもありがとうございます)。
毎月定例の安全衛生協議会


5月×日(火)
 7時を過ぎて携帯が鳴ると、案の定・・・災害発生。『歴史は夜・・・』の如く、何故か災害の一報は、遅くになってやって来る。被災者の様態を気にかけながらも、今週の予定を病院〜現場〜支店〜監督署での立ち回りへとひっくり返していく。皮肉な事だが、(私の)顔が売れている所長には、事故があってからのお付き合いの方が多い。安全環境品質部の方が初めて耳にしたという症状も、前に訊いた事があったりする。「何だ。おまえんとこ、2回目か。」と言われると仕事が増えるので、沈黙は金だ。今日は、電車がなくなる前に終った。仕事を忘れて、安い晩酌をするのが私の日課だが、いつもの店も終っていた。


 
臨時安全大会の進行役を務める
5月◇日(土)
 夕方から作業員宿舎でバーベキュー大会。のはずが、臨時安全大会と趣が変わる。資料を整え、先に宿舎内を見回ると、安全環境品質部の課長を講師に迎えることも手伝って、宿舎スタッフの意気込みが随所に見えた。課長の講義は熱中症対策のお題ながら、熱を冷やすにはアルコールに浸したタオルを、脇の下にあてなさいというもので、結論は『現場に焼酎を置いておけ』と洒落たものだ。バーベキューの料理を心待ちにしている猫にまで気遣っていただいたので、全員が集中し、明日からの再発防止に向けて良い大会となった。寒いぐらいの野外のお膳も、熱燗が皆の口と気持ちを和ませた。今度、大工さんにも推薦しよう。

安全環境品質部の課長さんによる講義

皆の口と心を和ませたバーベキュー大会


 安全か。積極的に仲間意識と向上心を引き出してやることが、それに繋がるはずだ。これから、作業が一番つらい梅雨と夏。少しでも多くの現場で、声を掛け、一緒に無い知恵を絞る。

 

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