(土木)犬蔵土地区画整理事業に伴う造成工事(首都圏本部)
蛍舞う自然と共存の素晴らしい街づくりをめざす
東急多摩田園都市56番目の土地区画整理事業
■工事場所 川崎市宮前区犬蔵2丁目地内
■事 業 社 犬蔵土地区画整理組合
■発 注 者 東京急行電鉄株式会社
■事業期間 平成12年3月〜平成18年3月
■所 長 川口 紳一 |
[工事数量] 開発面積
180,000u・伐採面積 153,000u
切盛土工事 450,000立方メートル・地下式調整池 2基
擁壁工事 2,130m・排水施設 9,230m・道路工事 29,600u
公園施設 3箇所・ガス・水道工事 一式・文化財調査 一式 |
東急田園都市線たまプラーザ駅から北へ900m、東名高速道路川崎ICから南西900mに位置する所で進められている「犬蔵土地区画整理事業に伴う造成工事」は東急多摩田園都市56番目の区画整理事業となる。
この事業は道路・公園等の公共施設を整備し、良好な住環境を備えた住宅地の供給を目的とする土地区画事業であり、@良好な住環境の確保、A防災性の高い都市構造の構築、B自然環境への配慮―という3つの基本方針を掲げて、計画人口3,769人の街づくりを進めるものである。
東急多摩田園都市の中心であり、豊かな住環境で知られる横浜市青葉区美しが丘に接するこの地区は、鶴見川水系の矢上川の源流で犬蔵谷戸と呼ばれ、工事に着手するまでゲンジボタルが飛び交っていた。
こうした自然環境に配慮するために、地区の中央に配置される公園は、平成10年に環境庁が策定した「生物多様性保全モデル地域計画(鶴見川流域)」として、緑や生物の保全と回復を図るため、「生物多様性モデル地区公園」として整備される。
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自然環境への配慮を基本にした施工
川口紳一所長「この現場は環境影響評価(アセス)対応事業で、『自然環境への配慮をした街づくり』を基本に施工しています。評価項目の生態系・湧水・大気・騒音・振動・産廃・交通量・埋蔵文化財等を評価し、建設時にその要因となる伐採材・建築廃材・土工事・建設機械・工事用車両の低減を図るため、外周は3m万能板柵を設置し、伐採材はチップ再生、コンクリートガラは再生砕石、切盛土工は場内処理、工事車両は1日45台と定めて毎日チェックして厳守しています」
生息していた動植物を復元するために、公園内に7,000uの現況林を保全し、シンボルとして山桜と榎を移植している。ホタルとホトケドジョウは採取して研究施設と里親で飼育され、公園に帰ってくることになる。また、ホタルの餌となるカワニナはこの事務所の飼育施設で増殖させ、小学生120人によるカワニナの放流が行われ、ホタルが舞い、ホトケドジョウが暮らす公園の完成が待たれている。
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公園には樹木の保存と移植が進められている
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| 川口所長「公園づくりを通じて、新しいものを創り出すだけでなく、今あるものを保全・回復し、自然と共存・共生をし、人と人との繋がりを創造するような地域社会になるような街づくりをするのが、私たちの使命と思って工事を進めています」
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カワニナを放流する小学校5年生の児童たち
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住んでいる人の気持ちで工事を進行
この造成工事がこれまでの他のケースと違うのは、市街地の中で行っていることである。
川口所長「施工地域外周に100軒あまりのマンションと戸建住宅が張り付いているので、騒音・振動・埃対策が重要な仕事になっています。
場内に騒音・振動計、風速・風向計、ダストジャを設置し、騒音・振動対策として重機の種類と大きさ、施工方法の見直し等で低減を図る。埃対策としては万能板柵、防塵シート柵、防塵シート貼り、種子吹付、クリコート吹付、散水車、スプリンクラー等で、その場所に合った方法で行っています。管理方法は、前日夕方にインターネットで予想風力と風向きを調べ、白、緑、黄、赤まで4階級の色旗を出入口部に表示して、階級ごとの動きをするように周知させています」
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ちなみに、白は平常で風速(m/s)5.5未満。名称は軟風。自然状況(陸上)は木の葉や細かい小枝が絶えず動く、旗がはためく。場内対応は散水車1台による散水というようになっている。以下、第3種から第1種までの階級となるが、すべてを紹介するスペースがないので、一番風の強い第1種・赤色の場合だけを紹介する。赤色は、風速10.8以上。名称は雄風。自然状況(陸上)は大枝が動き電線が鳴る、傘の使用は困難となる。場内対応は散水車3台による散水、宅地を消防ホースで散水―となっている。
文字で表すと以上で終わってしまうが、住宅がすぐそばに迫っている中での18万uの造成工事であるから、散水も簡単なことではない。
また、風雨雪による災害防止対策、 地震時の対策、防塵対策についての 「防災計画書」を4半期ごとに作成
して、万全な事前対策を行っている。 |

写真前列向って左より小松末広さん(叶ツ木組)、川上勝利さん(山崎建設)、
鈴木道弘さん(笠間建設)、野澤 太さん(轄イ々木組)、石澤慎司技術員、
後列向って左より川口紳一所長、西岡隆男技術員、山田常久副所長、山口伊佐子事務補、
鹿野内功工事主任、廣川賢ニ工事主任、川口成ニ郎技術員
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誰が当たるかわからない安全講話
作業所スローガン「安全は現場の仲間(社員・職長・作業員)声掛け合い危険ナシ!」のもと、重点管理事項は次の通りである。
@重機災害の防止…重機半径以内立入り禁止看板・柵の設置・グーパー運動
A墜落・転落災害の防止…安全帯の使用・梯子の固定・手摺の設置
B第三者災害の防止…第三者最優先の実施・場内の進入防止
C土砂崩壊災害の防止…安全掘削勾配の確保・排水処理の確認
この他、安全衛生管理活動として実施しているのが、不安全行動のペナルティーシール、重機稼動範囲内立入り時のグーパー運動、ヘルメット前面名前シール、朝礼での一人指名による安全講話などである。
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伐採材はチップ再生される |
「犬蔵を良くするぞ部長」で課題表明
行事が多いのも、この作業所の特徴である。毎週月曜日の安全集会から議員、行政、組合役員、発注者が参加する賀詞交換会(餅つき)など、8つの行事が定例で行われている。その中に、2ヵ月毎に発注者、元請、協力会社が参加して行われている「情報連絡会(蔵の会)」というのがある。
この会の会則の第3条に「犬蔵土地区画整理事業の進捗のため、積極的な事業貢献と地域社会へ調和と協力、並びに会員相互の親睦と情報交換を目的とする。」とあるように、犬蔵を素晴らしい街にするにはどうしたらいいかを目的にした会である。
また地域、行政、関係者のみならず各方面から注目を集めている工事であるから、毎週必ず見学者が訪れている。その中にはタイの国会議員の見学もあったそうだ。
小学生の絵の展示、万能版フラワーシール、事務所周りには花と樹木というように、イメージアップ活動に力を入れているが、作業所運営でユニークなのが「犬蔵を良くするぞ部長」というものだ。これは、所員がそれぞれ部長になって、特に自分が力点を置くのは何かを表明する。
例えば、川口所長は「川口儲けるぞ部長」で―常に儲けることを考え、会社(社員)・協力業者(作業員)を豊かにする―を課題にしている。紙幅の関係で、次の3部長を紹介する。「廣川新しいものを取り入れるぞ部長」―新技術・アイディアを積極的に取り入れ、新たな土木を目指す。
「鹿野北海道部長」―北海道の良いところを犬蔵に取り入れる。
「山口事務所を守るぞ部長」―また来たい事務所造りを心掛け、笑顔の職場にする。
職長会の名称は「自然薯会」で会員18名。「自然薯会」という命名は、場内に自然薯があったことと、職長会もそれにあやかって粘り強く、皆の繋がりを大切にしながらやっていこうという理由からだという。職長会の4役の方にお話を伺う。
川上勝利さん(会長/山崎建設梶E土木一式工事)「石積、排水工事を担当していますが、現在は場内が平らになってきて、周りのマンションなどから作業の様子が見えますから、不安全行動をしないように周知徹底して、いいイメージをもたれるように、しっかり仕事をしていこうと話しています」
鈴木道弘さん(副会長/笠間建設梶E機械土工事)「切土と盛土工事、運搬を現在担当していますが、振動を極力抑えた計画のもとで進めています。切土、盛土にかかるにつれて日々地形が変わってくるので、土砂流出等を起こさないように午前と午後、対策を立てながらやっています」
小松末広さん(書記/叶ツ木組・とび土工事)「石積擁壁工事と宅盤整地をやっていますが、重機作業での合図の確認の徹底と、高所作業では親綱を張って安全帯の使用を徹底しています。現在、民家の目の前で石積工事をしているので、振動と騒音に特に注意しています」
野澤 太さん(会計/轄イ々木組・土木一式工事)「場内の排水、石積擁壁、外築工事をしています。重機と隣接しての作業ですから接触防止を全員に徹底させています。現在、場内から少し離れて地区外で作業しているので、第三者災害は絶対に起こさないように特に注意しています」
チームワークが見事に取れている職長さんたちの願いは「全工程を皆で力を合わせて無事故無災害で終わらせたい」ということである。
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